企業が継続的に成長し、顧客から選ばれ続ける存在になるためには「企業ブランディング」が欠かせません。しかし日々の業務に追われ、ついブランディングを後回しにしてしまう企業も多いのではないでしょうか。
実は、経営者が持つ想いや企業の歴史、理念などをオウンドメディアを通して正しく伝えることができれば、効果的な企業ブランディングにつなげられる可能性があります。
この記事では、「企業ブランディングとはそもそも何か」を解説しながら、企業ブランディングの具体的な手順や得られるメリット、さらにブランディングを成功させるための効果的な施策を詳しく解説していきます。
目 次
そもそもブランディングとは?
ブランディングという言葉の起源は、実は牛などの家畜に焼印を押す行為にあります。古代の放牧地では、広大な草原で牛が自由に歩き回っていたため、各所有者は自分の牛と他人の牛を見分けるために、焼印を押して「自分の所有物」であることを示していました。
この「焼印をつける」という行為を意味する古ノルド語の「brandr」が、現代の「brand(ブランド)」や「branding(ブランディング)」という言葉の語源となっています。
現代におけるブランディングの定義
現代においてブランディングとは、単なるロゴやデザインの刷新だけではなく、企業や製品・サービスが持つ独自の価値観、品質、信頼性、そしてそれらを体現する顧客体験を、一貫して消費者に伝える戦略的な取り組み全体を指します。
つまり、かつて牛に焼印を押して識別したように、企業も自社の「印(ブランド)」を通じて競合他社と差別化することで、消費者に安心感や愛着を抱いてもらうことがブランディングの定義であり目的となります。
ブランディング活動が重要視される理由
近年、技術やサービスのコモディティ化(差別化が難しい状態)が進み、ユーザーはどの製品やサービスを選べば良いのか迷ってしまう場面が増えています。また同時に、社会課題や持続可能性(サステナビリティ)に注目する人が増えるなど、企業が果たすべき役割や価値観も大きく変化しているのです。
こうした中で「顧客が何を基準に商品・サービスを選ぶのか」を考えると、単なる価格や機能だけではなく、「その企業やブランドの世界観」「企業の社会的価値」「共感できる想い」が選択の決め手になるケースが格段に増えています。
ブランディング活動を通じて企業の価値観を打ち出すことで、他社にはない固有のポジションを築き、顧客との強いつながりを生むことができるのです。
企業ブランディングとは?
「企業ブランディング」とは、会社そのものの価値を高め、顧客や取引先、社会全体から選ばれる存在へと導くための活動のことを指します。例えば同じような業種、似通った商品・サービスを提供していても、「あの企業だから一緒に仕事をしたい」「あそこが作る商品だから欲しい」と思ってもらえるようになる状態をつくるのが企業ブランディングのゴールです。
企業ブランディングを強化すると、社内外において以下のような効果が期待できます。
- 社会的な信頼度アップ
- 採用力や社員のモチベーション向上
- 企業ビジョンや理念の浸透
- 新規事業や新市場への展開がしやすくなる
ステークホルダーから企業そのもののイメージが確立されると、新たな商品やサービスをリリースする際も「○○企業が出したから興味がある」という形で、よりスムーズに受け入れてもらえるのです。
企業ブランディング以外のブランディング
ブランディングは「企業ブランディング」以外にも、取り扱う対象の範囲によって「製品・サービスブランディング」や「インナーブランディング」「採用ブランディング」など、さまざまな形が存在します。どの切り口でも根底にあるのは、「何を、誰に、どう伝え、どんな行動を促すか」という視点です。
ここでは、それぞれのブランディングについて具体的に見ていきましょう。
製品・サービスブランディング
製品やサービスそのものに焦点を当て、魅力や独自性を引き出してブランド化していくのが「製品・サービスブランディング」です。新商品を発売するとき、あるいは既存サービスを刷新するときなどに取り組まれ、以下のような施策が検討されます。
- 商品名やパッケージデザインの統一
- 競合製品との差別化ポイントの明確化
- 商品コンセプトやストーリーの設定
- 消費者の使用シーンを想定したマーケティング施策
企業ブランディングが企業全体のイメージ向上を狙うのに対し、製品・サービスブランディングは、個々の製品やサービスレベルでのポジショニングを強化するのが大きな特徴です。
インナーブランディング
インナーブランディングとは「社内の社員や関係者に向けたブランディング活動」のことを指します。企業ビジョンや理念、商品・サービスの強みなどを改めて従業員全員に共有し、自社の目指す方向性に対して高いモチベーションを持ってもらうのが、インナーブランディングの最大の目的です。
インナーブランディングを行うと、以下のような効果が得られます。
- 社員のモチベーション向上
- 離職率の低下
- 接客や営業など顧客対応の質向上
- 共通言語を通じて社内のコミュニケーションが円滑になる
企業の想いが社内にしっかりと根付き、社員が自社ブランドに誇りを持てるようになると、その情熱が自然と顧客や社会に伝わっていきます。
採用ブランディング
「採用ブランディング」とは、人材採用の面で自社の魅力を打ち出し、優秀な人材を獲得することを目的としたブランディング活動のことを指します。特に少子高齢化で採用競争が激化する現代では、企業の想いや働き方を明確に示すことが重要視されています。
採用ブランディングに取り組むと、企業の価値観に共感した人材が集まりやすくなり、入社後の定着率が上がるメリットが期待できます。また、自社の文化や仕事のやりがいをわかりやすく発信することで、求職者が「自分に合いそうだ」と判断しやすくなるのも良いポイントの1つです。
実際の社員インタビューや社内の雰囲気を伝えるコンテンツの活用などが、「採用ブランディング」の効果的な手法として知られています。
企業ブランディング成功時のメリット
企業が実際にブランディングを成功させると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここからは、“企業ブランディングの成功時に得られる具体的な成果”にフォーカスしながら、ブランディングがもたらす大きな可能性を解説していきます。ブランディングはすぐに結果が出る施策ではないものの、長期的に見た場合のリターンが非常に大きい点に注目してください。
長期的に見て広告宣伝費を削減できる
企業ブランディングが定着すると、企業や商品・サービスがターゲットの頭の中に印象深く残り、指名買いやリピート購入が起こりやすくなります。それによって、継続的に広告費を投じなくても一定の売上や問い合わせが見込めるようになります。
さらに、口コミや評判が自然と広がり、メディアにも取り上げられやすくなる可能性があります。「広告費=掛け捨ての投資」だけの状態から、「ブランディング効果=無形資産による安定集客」へとシフトすることで、長期的な広告宣伝費の削減が期待できます。
なお、企業ブランディング以外に、広告費を削減しつつ利益を増やす具体的な方法については、以下の記事をご覧ください。
>>ムダな広告を見直して利益を最大化!広告費の削減には「広報」が効果的 | 広報代理店
他社との差別化により売上と利益率の向上
競合が多い市場では価格競争が起こりがちですが、ブランディングによって唯一無二の存在になると、“価格以外の価値”を認めてもらいやすくなります。たとえば「この企業だから高くても買いたい」というファンが増えることで、安易な値下げ競争に巻き込まれずに済むのです。
結果的に、利益率が向上し、企業の財務基盤が強化されます。売上増と利益率向上の両面から企業の安定と成長に寄与するのが、企業ブランディングの大きな特長でありメリットと言えます。
企業の社会的な信頼性がアップ
企業ブランディングに成功すると、社会や取引先、金融機関などからの信頼度を高めることができます。ブランディング活動によって企業としてのメッセージや想いが明確になることで、ステークホルダーが「この企業は信用できる」と判断しやすくなるためです。
「よく知らない企業」に仕事を依頼するより、「あの会社はブランド力があるし、話題にもなっているし、応援したくなる」という感覚で選ばれるようになるのは、企業にとって大きなアドバンテージと言えます。また、企業ブランディングによって企業の認知度・注目度が高まることで、メディアに取り上げられる機会も増える可能性があります。
なお、企業が新聞・メディア・マスコミに取り上げてもらうための効果的な方法については、以下の記事をご覧ください。
>>新聞・メディア・マスコミに取り上げてもらうにはプレスリリースが効果的! | 広報代理店
採用活動でプラスに働く
先ほども少し触れましたが、ブランドが確立できた企業は採用面でも有利に働きます。求職者の多くは、給与や福利厚生だけでなく、「その企業が世の中にどのような価値を提供しているのか」「どんな未来を目指しているのか」といった理念やビジョンを気にするようになっています。
企業ブランディングの促進によって「この会社で働きたい」「自分が貢献できる場所だ」と思ってもらいやすい企業は、選考に人材が集まりやすくなり、採用コストの削減にも直結します。さらにカルチャーフィットした人材が集まれば、社員の定着率やモチベーションの高さにも良い効果が期待できるでしょう。
資金調達をしやすくなる
企業のブランドが強固になると、投資家や金融機関からも「魅力的な企業」と評価されるケースが増えます。企業イメージが良く、社会的信用が高いと判断されることで、資金調達においても優位に立ちやすくなるのです。
「企業ブランディングが成功している」=「世の中の評判がよく、ビジネスの将来性がある」と見なされるため、融資審査や投資検討の場面でプラスに働くケースが増えるでしょう。
従業員のモチベーションアップに繋がる
社員が自社に誇りを持つことは、業務の質や生産性に直結します。企業ブランディングによって社会的評価が高まり、「この会社で働いている自分は誇らしい」という実感が得られると、社員のモチベーションはアップしやすくなります。
特に接客業や営業職など、社外の人々とのコミュニケーションが多い職種では、ブランドイメージが大きくモチベーションに影響します。社員が自社のブランドを愛し、心からプライドを持って働いている姿は、顧客にも良い印象を与えます。
従業員エンゲージメントが高まる
従業員エンゲージメントとは、社員が企業やそのビジョンに対して抱く愛着心や帰属意識、コミットメントの強さを指します。企業ブランディングを通じて、「自分たちの仕事が社会にどう役立っているのか」「企業が目指す理想に自分がどう関わっているのか」が明確になると、従業員エンゲージメントは格段に高まります。
従業員エンゲージメントが高まることで組織全体が活性化し、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすくなったり、離職率が低下したりするメリットが期待できます。
なお、従業員エンゲージメントについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>従業員エンゲージメントとは?高い企業のメリットや高めるための施策 | 広報代理店
企業のマーケティング戦略が成功しやすくなる
ブランドが確立されると、新たなサービスや商品をリリースする際のマーケティング施策がスムーズになります。「あの会社が出すなら試してみようかな」と思ってもらえるからです。
さらに、ブランドイメージが定着すると顧客とのコミュニケーションにおいても一本筋が通ったメッセージが伝えやすくなり、あらゆるプロモーション活動が相乗効果を生みやすくなるのです。
企業のファンが増えることで顧客ロイヤリティが高まる
企業ブランディングが成功すると、“普通の顧客”が“企業のファン”へと変わっていきます。価格だけではなく、その企業の考え方やストーリーに共感して購入・利用してくれるため、競合からの提案やわずかな値上げでは離脱しにくくなります。
ファンが増えると口コミや紹介も自然に広がり、企業としての安定的な集客力を高める効果が期待できます。ブランディングの重要なメリットが、この「顧客ロイヤリティの向上」と言えるでしょう。
企業ブランディングの手順
それでは、実際に企業がブランディングを進める際には、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。
ここからは、「現状把握→ブランド定義→戦略の策定→効果測定→リブランディング」という流れを中心に、代表的な分析手法や検証方法も含めて紹介します。企業ブランディングを進めるための一連のステップを理解しておくことで、企業独自の強みを正しく活かし、ブランディング活動を成功へと導く確率がぐんと高まるはずです。
①企業の現状を洗い出し課題などを明確にする
企業ブランディングを始めるうえで最初に行うのは、企業の現状分析と課題の洗い出しです。自社の商品・サービス、ターゲット層、競合、業界全体の動向などを客観的に把握しておかなければ、どの方向へブランディングを進めるのが最適か判断できません。
企業の現状分析と課題の洗い出しに役立つ、マーケティングのフレームワークは以下の通りです。
PEST分析
PEST分析とは、Political(政治的要因)・Economic(経済的要因)・Social(社会的要因)・Technological(技術的要因)の視点から、市場全体のマクロ環境を整理するためのフレームワークです。
ブランディングを行う上でも、社会や業界の大きな流れを把握することで、「持続可能性」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」など注目テーマを踏まえた方向性を見極められます。
3C分析
3C分析は、Customer(顧客ニーズ)、Competitor(競合の状況)、Company(自社の強み・弱み)の3要素を把握し、戦略を立案するフレームワークです。
ブランディングでは特に、「顧客が求める価値」と「自社の価値」がどこで合致するのかを見極めるために効果的です。また、競合がどのようなブランディングを展開しているのかを知ることで、自社が取るべき差別化ポイントも見つけることができます。
VRIO分析
VRIO分析とは、自社のリソースや能力が「Value(価値)」「Rarity(希少性)」「Imitability(模倣困難性)」「Organization(組織化)」の観点で優位性を持っているかを評価するフレームワークです。
ブランディングの基盤となる自社の強みやコアコンピタンスが、どれくらい魅力的で模倣困難なのかを判断し、ブランド価値の源泉を特定することに役立ちます。
SWOT分析
SWOT分析は、内部環境を示すStrength(強み)、Weakness(弱み)と、外部環境を示すOpportunity(機会)、Threat(脅威)を整理して戦略を立てるフレームワークです。
企業ブランディングでも同様に、自社の強みと機会を掛け合わせ、ブランドとしてどのように差別化を図るかを考える場面で有効です。また、脅威と弱みの組み合わせを把握することで、ブランディング上のリスク管理にも活かすことができます。
STP分析
STP分析は、Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲット選定)、Positioning(市場でのポジション確立)の視点から、具体的に「誰に対して、どんな価値を提供するか」を明確にするマーケティング手法です。
ブランドを作り上げるには、まず「どの層に対して強い共感や愛着を生んでいくのか」を決める必要があります。STP分析を用いて、的確なターゲット層を絞りましょう。
4P/4C分析
4P分析とは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)を指し、マーケティング施策を総合的に検討するフレームワークです。また、4C分析は、4Pの顧客目線版とも言えるフレームワークで、Customer Value(顧客価値)、Cost(コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の視点から分析する手法です。
4P/4C分析は企業ブランディングにも通じる重要な考え方で、提供価値や価格設定、流通・販路、コミュニケーション設計を整合性のある形で策定するために活用します。
②自社のブランド定義を決定する
現状分析の後は、実際に「ブランドとは何か」「何を約束しているのか」を明確にする段階です。ここでは下記の観点でブランドの要素を整理していきます。
五感的特徴
五感的特徴とは、ブランドを感覚的に理解してもらうための特徴を指します。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚という五感を通じて、「ブランドを想起させる要素」は何かを洗い出しましょう。
たとえば、特定のカラーパレットやサウンドロゴ、独自のパッケージ質感などが該当します。
事実的特徴
事実的特徴とは、製品の材料や製造工程、サービス提供の仕組みなど、客観的に証明可能な事実に基づく特徴のことを指します。「高品質の原材料を使用している」「国際基準を満たした安全性がある」などが当てはまります。
ブランドの信頼性を高める根拠となる部分です。
機能的価値
機能的価値とは、商品やサービスが実際に提供する機能・性能的な価値のことを指します。
たとえば「頑丈で長持ちする」「操作が簡単」「専門家のサポートがつく」といった具体的メリットが、機能的価値に該当します。ユーザーが生活の中で実感するメリットを洗い出すことで、より強い訴求が可能です。
情緒的価値
情緒的価値とは、使っている時や手に取った時に「ワクワクする」「落ち着く」「ステータスを感じる」など、感情面に訴えかける価値を指します。
人は感情によって購買行動が左右されることが多いため、この情緒的価値の設計はブランディングで非常に重要です。
ライフスタイル的価値
ブランドが提案するライフスタイルと、ユーザーが望むライフスタイルとが合致すると、強い共感や憧れが生まれます。
例えば、エコ志向やミニマリスト的ライフスタイル、高級感のある暮らしなど、ブランドを持つことが自分らしさの表現になるような価値を提供できます。
社会・倫理的価値
近年注目されているSDGsやCSR活動など、社会的・倫理的な側面も企業のブランド構築において重要です。
環境への配慮や地域社会への貢献など、企業としての姿勢がステークホルダーからの共感を呼ぶことで、顧客ロイヤリティは強く高まります。
③ブランド定義をもとにブランド戦略を立てる
ブランドの要素が定義できたら、それらを踏まえた具体的な戦略を立案します。ブランドメッセージやキャッチコピー、ビジュアルデザインなどをどのように展開していくのか、ターゲットに対してどうコミュニケーションを図るのかを検討しましょう。
たとえば、WebサイトやSNS、広告、イベントなど、多角的なチャンネルで一貫したメッセージとデザインを発信することが大切です。すべての接点で同じブランド体験を提供することで、ユーザーの記憶に企業のブランドが強く刻まれまれやすくなります。
④実施したブランディング施策の効果を検証する
戦略を実行したら、定期的にその効果を検証する必要があります。具体的には、アクセス解析やSNSでの反応、売上の推移、顧客満足度調査など多方面からデータを収集し、「ブランドイメージがどのように変化したか」「顧客の評価はどうか」をチェックします。
また、KPI(重要業績評価指標)を設定し、定量的な数値だけでなく、アンケートなど定性的な情報を参考にすることが大切です。特にブランディングは、すぐに数値に表れにくいため、長期的な視点での検証が欠かせません。
⑤PDCAサイクルを回してリブランディングを行う(リブランディングの意味を解説)
ブランディングは一度確立したら終わりではありません。社会情勢や顧客ニーズの変化、競合の動きなどに合わせて、適宜方向性を見直す必要があります。
そこで重要になるのが、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Act)です。定期的に計画を振り返り、より効果的な施策を打ち出していきましょう。その過程で、ブランドロゴやスローガンを刷新したり、メッセージをアップデートする「リブランディング」に踏み切る場合もあります。
リブランディングとは、既存のブランドを再定義し、新たな価値を与えるための取り組みです。リブランディングに成功すれば、新鮮さを保ちながら既存ファンを維持し、さらに新たな顧客層にもアプローチすることが可能になります。
企業ブランディングに効果的な施策11選
ブランディングの全体像を理解したら、次に具体的な施策を考えていきましょう。
ここでは「印象的なキャッチコピー」や「Webサイトの整備」「SNSの活用」など、実際に取り組みやすい11の施策を一挙に解説します。
企業規模や業種、目指すブランドイメージによって優先順位は異なるものの、どれも欠かせないエッセンスが詰まっています。自社に合った施策を組み合わせ、ブランド力を高めていきましょう。
①印象的なキャッチコピーを設定する
キャッチコピーは、ブランドの特徴やメッセージを短い言葉で端的に伝える非常に重要なブランディング施策です。多くのトップブランドが長年にわたり使い続けてきたフレーズがあるように、優れたキャッチコピーは顧客に対し強いインパクトと継続利用を促すことができます。
キャッチコピーを考える際は、「ターゲットが抱える悩みや期待に言及する」「企業や商品の世界観をシンプルに表現する」ことがポイントです。文章は短くとも、込める想いは深いものにしましょう。
②魅力的なオリジナルキャラクターを生み出す
企業や商品のイメージをわかりやすく、親しみやすく伝える方法として「キャラクター開発」は有効です。かわいらしさやユーモア、時にはかっこよさを持たせたキャラクターは、子どもから大人まで幅広い層の注目を集めます。
キャラクターは広告だけでなく、SNS投稿やノベルティグッズなどにも展開しやすいので、企業の認知度アップやファン獲得に大きく貢献してくれるでしょう。
③記憶にのこるロゴを作る
ロゴは、ブランドを視覚的に識別する最も重要なシンボルです。一目見ただけで企業を連想できるロゴデザインは、ブランディング成功の証ともいえます。
ロゴ制作においては、「誰に・何をイメージさせたいのか」を明確にし、色や形、フォント選びにこだわりましょう。ロゴはWebサイトから名刺、パンフレット、店頭看板まで、あらゆる場所に使用されるため、汎用性と再現性の高さも大切な要素です。
④パッケージデザインでブランディングする
顧客が商品を手に取る際に、最初に目に入るのがパッケージです。パッケージデザインは、商品コンセプトを具現化した最前線のブランディング要素といえます。
独特のカラーや形状、素材感を通じて「どんなシーンで使われる商品なのか」「どんな価値を提供するのか」を感じ取ってもらえるように設計することで、店頭でもオンラインでも大きな存在感を放つことができるでしょう。
⑤イベントやセミナーを開催する
オフライン・オンライン問わず、イベントやセミナーは顧客との接触回数を増やし、ブランド体験を提供する絶好の機会です。新商品発表会やワークショップ、勉強会など、多様な形式で企業の想いやメッセージを直接伝えることができます。
また、イベント参加者がSNSに感想を投稿してくれることで、口コミ効果が期待できる点も魅力的です。顧客とのリアルなコミュニケーションがブランドへの愛着を深めるカギとなるでしょう。
⑥広告を活用する
広告は短期間で大きな認知拡大を狙える手段です。ブランディングでも、効果的な広告展開を行うことで、急速にターゲットへのアプローチを進められます。ただし、広告が単発で終わらないよう、継続的な印象づけや、他の施策との連携を意識しましょう。
広告は、テレビCM、Web広告、SNS広告など、出稿先や方法も多彩です。ブランドの世界観やメッセージを余すことなく伝えられるように、クリエイティブな広告設計が重要になります
⑦Webサイト(コーポレートサイト)を用意する
企業の公式サイトは、ブランディングの中核的存在といえます。コーポレートサイトのデザインや情報設計、文章のトーンなどを一貫性のあるものにすることで、企業の想いを深く伝えることができるためです。
また、企業ブランディングを考える際は、まず公式サイトの新規作成やリニューアルを検討してみましょう。その際、直感的に使いやすいユーザーインターフェース、ビジュアル面の統一感、ブランドストーリーを掲載するコンテンツなどが、企業ブランディングにとって重要なポイントとなります。
⑧オウンドメディアを運用する
オウンドメディアとは、コーポレートサイト内に設置した自社ブログなどのことを指します。オウンドメディアを新たに立ち上げて、継続的に情報発信を行うことは、企業ブランディングを強化するうえで大きな武器となります。
オウンドメディアを活用し、企業の想いやブランドストーリー、顧客とのエピソードを定期的に発信することで、企業ブランディングを促進することができます。また、オウンドメディアに質の高いコンテンツを積み重ねることで、SEO効果も期待でき、検索エンジンからの流入が増えるというメリットも期待できます。
オウンドメディアについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>オウンドメディアとは?ペイドメディアとの違いやメリット・注意点 | 広報代理店
⑨企業SNSを活用する
Twitter(X)やInstagram、Facebook、TikTokなどのSNSは、手軽に企業の情報発信やユーザーとのコミュニケーションが図れるツールとして人気です。企業ブランディングにおいても、企業SNSの運用は欠かせない施策のひとつです。
なお、企業SNSでブランドの世界観を表現する際は、投稿内容や画像、使う言葉などを統一し、ファンとのやり取りも積極的に行うことがポイントです。共感を呼ぶストーリーを発信し続けることで、熱心なフォロワーがブランドのサポーターになってくれるでしょう。
なお、企業SNSについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>企業SNS運用とは?マーケティングでの活用や成功事例、炎上等の注意点 | 広報代理店
⑩企業YouTubeチャンネルを開設する
動画による情報発信は、テキストや画像では伝わりにくい雰囲気や空気感を伝えやすく、ブランディングにも大きく寄与します。製品紹介やノウハウ動画、社員インタビューなど多様なコンテンツを展開することで、企業の姿勢や価値観をより感じてもらいやすくなるでしょう。
また、企業YouTubeチャンネルでブランディングを行う際は、視聴者がその動画を見て何を感じ、どんな行動を起こすのかを念頭に置きながら、定期的なコンテンツ更新や独自の企画でブランドイメージを確立していくことが大切です。
企業YouTubeチャンネルについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>企業YouTubeチャンネルの運用を代行!広報代理店の「いっしょにYouTube運用」のサービス内容や費用・メリット | 広報代理店
⑪プレスリリースを定期的に発信する
新商品リリースやサービス開始、社会貢献活動の成果などをプレスリリースとして発表することで、メディアへの露出やWeb上での記事掲載につながります。企業ブランディングにとって重要な認知度向上や社会的信頼を得るためにも、プレスリリースは大変有効な手段です。
プレスリリースについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>プレスリリースとは?企業が配信するメリット・効果や注意点 | 広報代理店
企業ブランディングはオウンドメディア等の広報が効果的!
これまで紹介した11の施策の中でも、オウンドメディアやSNS活用などの広報活動は、比較的コストを抑えながら継続的な企業ブランディングをしやすいのが特徴です。地道に積み重ねたコンテンツは企業の資産となり、時間が経つほど大きな効果をもたらしてくれます。
また、オウンドメディアなどの広報施策と、他の施策(広告やイベントなど)を組み合わせることで、より大きな相乗効果が生まれやすくなるでしょう。
オウンドメディアで企業ブランディングを成功に導くためのポイント
オウンドメディアは、企業の想いを余すところなく発信できる場として、とても有効なブランディング手法であると言えます。しかし、オウンドメディアの運用を続けていく中で「何を書けば良いのか分からない」「更新が止まってしまう」といった悩みを抱えている企業も多いかと思います。
ここからは、読者の心を動かし、ブランドイメージを高めるためのポイントをご紹介していきます。
読者のニーズに沿った記事テーマを用意する
オウンドメディアを運用する上で大切なのは、「読者の視点に立つこと」です。自社の商品・サービスをただアピールするだけでは、なかなか読者に読み続けてもらうのは難しいかもしれません。読者が抱える悩みや興味・関心を把握し、それに応える形で記事テーマを設定しましょう。
例えば、美容関連企業なら「肌トラブルを防ぐ日常ケア」、物流企業なら「コスト削減と効率化の具体策」といった具合に、検索キーワードなどをもとに読者が知りたい情報を発信していくのが効果的です。
SEOだけでなく自社の“想い”を記事に込める
検索エンジンで上位表示を狙うためのSEO対策はオウンドメディアには重要です。しかし、ただのSEO特化記事に終始しては、自社のブランディングにはつながりにくいでしょう。
「自社がどうありたいのか、どんな未来をつくりたいのか」という想いをSEO記事のなかに込めることで、読者は「この企業を応援したい」と感じるようになります。SEOとブランディングの両立を意識したコンテンツづくりが、企業ブランディングを促進するオウンドメディアの理想です。
自社ならではの取り組みを記事で紹介する
企業ブランディングのためには、企業独自の取り組みや企業文化などをアピールすることが効果的です。例えば、自社が取り入れている社員教育の方法や福利厚生、社内行事、社会貢献活動やSDGsへの取り組みなどは、他社との違いを印象付ける材料になり得ます。
会社が日々取り組んでいるありのままのストーリーを伝えることで、読者は企業に対し“人間味”や“共感”を覚えやすくなり、企業への信頼感や愛着が深まる効果が期待できます。
定期的な間隔で継続的に新規記事を配信する
読者をファン化するには、定期的な情報発信が欠かせません。更新が止まると、読者は「このサイト終わったのかな」と思って離れてしまいます。オウンドメディアの更新スケジュールをあらかじめ決め、可能な範囲で無理なく継続するのがポイントです。
また、定期的な更新は検索エンジンからの評価にも好影響をもたらすため、SEO面でもメリットがあります。
短期的ではなく長期的な目線で取り組む
オウンドメディアは、一夜にして大きな成果が出ることはほとんどありません。検索エンジンでの評価(順位)の上昇や、読者との信頼関係構築には時間がかかります。しかし、粘り強く続けることで、大きな差別化要因となる資産へ成長していくのがオウンドメディアの魅力です。
「今月は成果が出なくても、半年後や1年後にぐっと効果が高まる」といった長期視点で考えることが、企業ブランディングもオウンドメディアも重要になります。
文章・デザインで読者の「読みやすさ」にこだわりをもつ
「良い内容の記事を書いているのに、離脱率が高い…」という場合、文章の体裁やデザインが原因かもしれません。見出しや段落分け、適切な改行や装飾、挿入画像の選定など、“読み手を意識した配慮”が必要です。
ブランドイメージに合ったデザインテンプレートやフォントを採用し、目が疲れにくい色合いにするなど、視覚面でのストレスを極力減らすことで、読者が快適に記事を読めるオウンドメディアにしていきましょう。
自社で難しい場合は専門知識を持ったプロに依頼する
オウンドメディアの運営には、記事の企画・執筆、SEO対策、デザイン管理など多岐にわたる専門知識が必要です。社内リソースが足りない、ノウハウが不足している場合は、オウンドメディア運用の専門家や外部のプロに依頼する選択肢もあります。
苦手な分野を自社でなんとか頑張ろうと思っても、品質がともなっていない場合は時間と労力を無駄に消費してしまうことになりかねません。「餅は餅屋」の精神で、自社が苦手なことは得意な企業に委託することで、社内リソースを有効活用できるメリットも生まれます。
「広報代理店」では、豊富な経験と専門知識を活かしてオウンドメディアやプレスリリース、SNS運用などの広報施策をトータルサポートし、企業が持つ魅力や想いをより多くの人々に届けるお手伝いが可能です。オウンドメディアを活用とした記事コンテンツの制作はもちろん、ブランド戦略の立案から実行・改善までをワンストップで支援し、長期にわたって“企業ブランディング”を成功へと導きます。
オウンドメディアや広報を活用した企業ブランディングについてのご相談は、広報代理店までお気軽にお問い合わせください。
オウンドメディアを活用した企業ブランディングの成功事例
実際にオウンドメディアを活用して企業ブランディングを強化し、成果を上げている企業は数多く存在します。オウンドメディアを活用した企業ブランディングの成功例には、以下のような共通点があります。
- 経営者の想いや社会貢献の方針をオウンドメディアで語り、共感を集める
- 商品の世界観を発信し続け、コアファン層を育成
- 業界の専門知識や裏話を丁寧に発信し、権威性を確立
このように、自社にしかない価値をどう見せるか、どう伝えるかを突き詰めることで、オウンドメディアをブランディングの強い味方にすることができます。
弊社「広報代理店」がサポートさせていただいた企業ブログの成功事例については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
>>オウンドメディアを成功に導くには?広報代理店の成功事例5選 | 広報代理店
オウンドメディアを活用した企業ブランディングなら広報代理店
この記事では、ブランディングの基本から企業ブランディングのメリット、企業ブランディングの具体的な手順や効果的な施策、さらにオウンドメディアを中心としたブランディング手法についてご紹介してきました。ブランディングは短期的に爆発的な売上を狙うものではなく、“企業の想いや価値観を長期的に積み上げていく”活動です。だからこそ、焦らずに継続し、一貫性を保ち続けることで強固なブランドに育て上げることもできます。
また、企業ブランディングにおいて、オウンドメディアやプレスリリース、SNSなどの広報手法は非常に重要で効果的です。しかし、実務には多くの時間と専門知識が必要とされるため、日々多忙な経営者や広報担当者にとってはハードルが高いと感じることもあるでしょう。
広報を専門とした代理店「広報代理店」では、豊富な経験と専門知識を活かしてオウンドメディアやプレスリリース、SNS運用などの広報施策をトータルサポートし、企業が持つ魅力や想いをより多くの人々に届けるお手伝いが可能です。オウンドメディアを活用とした記事コンテンツの制作はもちろん、ブランド戦略の立案から実行・改善までをワンストップで支援し、長期にわたって“企業ブランディング”を成功へと導きます。
もし、あなたの企業が「企業ブランディングに興味がありつつも、どこから着手すれば良いかわからない……」と感じている場合は、広報代理店までぜひ一度ご相談ください。
あなたの企業が持つ“本当の価値”を見つけ出し、オウンドメディアをはじめとする多彩な広報手段を通じて、その価値を未来へと送り届ける――それが「広報代理店」の得意分野です。経営者の想いを大切にしながら、企業ブランディングや事業成長を、広報代理店が“広報のチカラ”で全力サポートいたします。