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メディアリレーションズとは?
メディアリレーションズ(あるいはメディアリレーション、メディアリレーションシップ)とは、企業や組織が新聞・テレビ・雑誌・ラジオ・Webメディアなどのメディアと良好な信頼関係を構築し、企業のニュースや情報をより多くの人へ効果的に届けるための活動を指します。
最近では、インターネットやSNSなど情報発信の手段が多様化し、企業の広報活動もますます重要視されています。そのなかで、メディアに情報を取り上げてもらうためのメディアリレーションズは、広報の「核」とも言える存在になってきているのです。
「メディアリレーションズなんて大企業しかやらないのでは?」と感じる中小企業の広報担当者の方もいるかもしれません。しかし、インターネットで情報があふれる今だからこそ、信頼度の高いメディアとよい関係を築き、社会への情報発信力を強めることが大切です。メディアと“対等に”関わりを築き、双方が喜び合う形で情報発信を行うことで、企業は知名度の向上やブランド力の向上につなげることができます。
以下では、「広報でメディアリレーションズが重要視される理由」「近年メディアリレーションズが注目されている背景」「メディアリレーションズとメディアプロモートの違い」について順番に解説していきます。
広報でメディアリレーションズが重要視される理由
企業が「世の中に情報を届ける手段」には、大きく分けて“広告”と“広報(パブリシティ)”があります。広告は費用をかけて視聴者や読者の目に情報を留める施策ですが、広報(パブリシティ)はメディアに情報を取り上げてもらうことで実現する手法です。そして、広報(パブリシティ)を獲得するために不可欠なのが、メディアの記者や編集者と良好な関係を築く「メディアリレーションズ」です。
なお、パブリシティ活動について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>パブリシティ活動とは?広告・広報・PRとの違いや取り組むメリット | 広報代理店
なぜメディアリレーションズが広報活動で重要かというと、広告に比べて「メディア側が自主的に情報を取り上げる」という形になるため、読者や視聴者に対する“信頼度”が高まりやすいからです。
「自社で広告を出す」のではなく、「新聞やテレビ、雑誌、Webメディアがニュースとして掲載する」という形を取ることで、信憑性や権威性が増し、結果的に企業やサービスへの安心感が高まります。
また、メディアリレーションズを通じて得られる記者や編集者との信頼関係は、単発の露出にとどまりません。発表内容が世の中の動向に合った新しい内容であるとき、記者は「この会社は面白いネタをくれそうだ」「また取材したい」と考えるようになり、その後も取材依頼や記事掲載のチャンスが巡ってくるかもしれません。こうした“継続的”な広報効果を得るうえでも、メディアリレーションズは欠かせません。
近年メディアリレーションズが注目されている背景
近年、メディアリレーションズが改めて注目されている理由の一つに、情報量の膨大化があります。インターネットやSNSの普及で、ユーザーはスマートフォンひとつあれば膨大な情報を手軽に得られるようになりました。その結果、企業が伝えたい情報が埋もれてしまい、思うようにユーザーに届かないという課題が生まれたのです。
また、マスメディアがこれまでのように“一方的に”情報を届けるだけではなく、SNSを活用してユーザーとの双方向コミュニケーションを求める動きも活発になりました。テレビや新聞、雑誌といった従来のメディアに加えて、Webメディアや個人が発信するブログ、SNSなどが勢力を拡大し、消費者の動向や興味関心も実に多様です。
このような複雑化したメディア環境で着実に露出し、社会にアピールするには、記者や編集者との信頼関係がとても重要になります。メディアリレーションズを強化することで、「数あるネタの中から自社の情報をピックアップしてもらう」「正確な情報を伝えて誤解を防ぐ」など、多くのメリットが得られるからこそ、いま改めてメディアリレーションズが注目されているのです。
メディアリレーションズとメディアプロモートの違い
「メディアプロモート」という言葉は、「メディアに対して売り込みを行うこと」を指します。具体的には、記者に対して“直接”メールや電話、訪問を通じて「こんな話題がありますよ」「取材してみませんか?」とアプローチする活動です。
一方のメディアリレーションズは、単なる“売り込み”だけでなく、メディアとの関係全般を良好に築き、維持していくための活動すべてを指します。
「プレスリリースを配信し、記者からの問い合わせがあったら真摯に対応する。」
「メディアキャラバンや懇談会で顔を合わせ、記者が興味を持ちそうな話題を探り、逆にこちらからも役立つ情報を積極的に提供する。」
こうした一連の取り組みによって、メディアとの相互理解を深めていくのがメディアリレーションズです。
要するに、メディアプロモートは“自社の話題を積極的にPRする”行為にフォーカスしているのに対し、メディアリレーションズは“長期的・包括的にメディアとの信頼関係を築く”考え方であり、この両者をうまく組み合わせながら広報活動を行うことが大切です。
メディアリレーションズメリット
メディアリレーションズを強化することで、企業の情報が「ニュース」として取り上げられやすくなり、さらには社員や顧客・ステークホルダーに大きな恩恵をもたらします。
ここからは、メディアリレーションズによって得られる代表的なメリットを6つ紹介します。社内外への良い影響に加え、ブランドや信頼性向上などビジネス面のインパクトも期待できるでしょう。自社の広報活動を一段上のステージへ引き上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
企業の知名度をアップできる
メディアリレーションズを適切に行うと、新聞やテレビ、Webメディアなどで自社の情報がニュースとして取り上げられる可能性が高まります。記事や番組を通じて多くの人の目に触れることで、一気に知名度が向上するチャンスが生まれます。
広告では到達できない新規層にリーチするほか、第三者の視点で取り上げられることにより「社会的な関心事」「世の中が求めている情報」という形で認識されやすくなるのも大きな利点です。企業の認知度が高まると、サービスや製品への興味を持つ人が増え、売上向上や新規顧客の獲得に結び付きやすくなります。
自社製品やサービスをPRできる
メディアリレーションズは、製品やサービスを“費用をかけずに”大々的にPRできる広報手段の一つです。広告は露出先やタイミングなどを細かくコントロールできる半面、大きな費用が必要となります。その点、メディアリレーションズを通じて記事化や番組化されれば、広告費を抑えつつ大きな宣伝効果を期待できます。
たとえば新製品の発表をプレスリリースで配信し、記者からの問い合わせに丁寧に答え、時には試作品や追加情報を提供して興味を高めてもらう、などが考えられます。こうしたメディアリレーションズ活動の積み重ねが成功すると、多くのメディアに取り上げてもらうことにつながり、自社の製品やサービスが一躍話題になることもあります。
従業員のモチベーションアップに繋がる
自社の活動や商品がメディアに取り上げられ、社名やブランド名が世の中で広く認知されるようになると、従業員の間にも誇りや喜びが生まれます。
「自分たちの仕事が社会的に認められ、評価されている」
「自分たちの取り組みを多くの人に伝えられた」
といった安心や自信が、従業員のモチベーションを高めてくれるのです。
従業員のモチベーションが上がれば、さらなる業績向上に向けての前向きな行動が期待できます。新たなアイデアを出そうと頑張ったり、外部にむけて良い情報を集めようと努力したりするなど、企業にプラスの循環を起こしてくれる可能性が高まるのも大きなメリットと言えます。
従業員エンゲージメントの向上に繋がる
モチベーションアップだけでなく、メディアリレーションズの成果を通じて従業員エンゲージメントが高まることも期待できます。従業員エンゲージメントとは、社員の会社に対する「愛着」や「帰属意識」のことを指します。
メディアリレーションズによって企業の取り組みが報じられ、社会から注目されると、社員が自社の理念や目標を改めて認識し、「この会社で働けて良かった」「もっと頑張ろう」という気持ちになりやすいのです。
特に、日々の業務を通じて社会的に意味のある活動をしていると認識できると、従業員同士の連帯感も育ちやすくなります。その結果、人材の定着率が上昇したり、新たな人材が「ここで働きたい」と志望したりすることも十分考えられます。
従業員エンゲージメントについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>従業員エンゲージメントとは?高い企業のメリットや高めるための施策 | 広報代理店
消費者からのブランドや企業に対する信頼性アップ
広告のように企業が「自己主張」で発信するのではなく、社会の問題や時代のトレンドに即した形で第三者(メディア)が取り上げてくれると、消費者からの印象や信頼度はぐっと高まります。「ニュースとして扱われる」というのは、企業が自力でいくらPRしようとしても得られない説得力があるのです。
また、大手テレビ局や全国紙など権威あるメディアへの露出は、ブランドの信頼性を一段と押し上げます。多くの消費者は「テレビや新聞で見たから安心だ」という心理を持っているため、認知拡大と同時に「信頼度が一気に高まる」という効果が得られます。
自社に関係する有益情報が入手できる可能性がある
メディアリレーションズに注力して記者や編集者と良好な関係を築くと、業界内の動向や最新情報をいち早く教えてもらえることがあります。メディア側は情報収集のプロですから、取材対象に関するあらゆるニュースを日々チェックし、他社や競合の動きにも精通しています。
普段なら手に入らない業界内部の話や、世間で話題の動向などを共有してくれる可能性があり、そうした情報を経営判断に活かすことで、機会をいち早く捉えたりリスクを回避できたりする可能性があります。メディアリレーションズが、業界内の“情報戦”を左右するケースもあるかもしれません。
メディアリレーションズを構築するための具体例
ここからは、具体的に「どのような手段でメディアリレーションズを構築していけばよいのか」を解説していきます。
プレスリリースや記者会見など“定番”の方法に加え、オウンドメディアやSNSなどの新しい手段を活用することで、多面的にメディアとの接点を作れます。自社に合った取り組みを選んで、効果的にメディアリレーションズを築いてみましょう。
プレスリリースの配信
メディアリレーションズを語るうえで欠かせないのが、プレスリリースです。プレスリリースは、自社の新商品・新サービス、イベント情報、組織変更などを広く発信する公式文書として、記者にダイレクトに届けることができます。
配信したプレスリリースが記者の目に留まると、追加取材や問い合わせが舞い込み、記事化や番組化につながる可能性があります。内容が明確でわかりやすく、ニュース性があるかどうかがメディアに取り上げてもらうための鍵なので、配信するテーマや書き方のコツを押さえたうえで作成することが重要です。
なお、プレスリリース効果的な書き方やメリット、配信サービス、メディアに取り上げてもらう方法などについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>広報のプロがプレスリリースの書き方を大公開!タイトルや本文のポイントやコツ | 広報代理店
>>プレスリリースとは?企業が配信するメリット・効果や注意点 | 広報代理店
>>国内シェアNo.1のプレスリリース配信サービス「PR TIMES」とは?特徴や料金を解説
>>新聞・メディア・マスコミに取り上げてもらうにはプレスリリースが効果的! | 広報代理店
オウンドメディアの運用
企業が自社で運営するメディアのことを、「オウンドメディア」と呼びます。ブログやコラム、ニュースリリースをまとめたサイトなど、オウンドメディアには多様な形態が存在します。オウンドメディアで定期的に情報発信を行うことで、自社の専門性やストーリーを深く伝えられ、検索経由で新規顧客との接点が生まれます。
さらに、オウンドメディアが充実している企業は、「こんなネタが欲しい」という記者の目に留まることも少なくありません。新しい商品やサービス、業界トレンドについて信頼度の高い記事を書いておけば、「この企業には詳しい担当者がいそうだ」と取材依頼が来る可能性が高まります。
なお、オウンドメディアのメリットや成功事例などについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>オウンドメディアとは?ペイドメディアとの違いやメリット・注意点 | 広報代理店
>>オウンドメディアを成功に導くには?広報代理店の成功事例5選 | 広報代理店
>>オウンドメディアの作り方を4つの手順で解説!立ち上げ費用相場も | 広報代理店
企業SNSの活用
メディアリレーションズというと、新聞やテレビなど従来型のマスメディアを思い浮かべる方も多いと思いますが、SNS時代の現在は、Twitter(X)やInstagram、Facebook、YouTubeなどのプラットフォームも重要な情報発信手段です。企業公式SNSをうまく運用すれば、拡散力や双方向コミュニケーションを活かし、メディア関係者の目に留まる可能性を高められます。
たとえば、記者や編集者がSNS上でトレンドを探すことは日常的に行われており、SNSで話題になっているネタをキャッチして記事化する事例も増えています。
企業SNSを運用する際のポイントとしては、「情報を定期的に発信している」「社会性やタイムリー性を意識した発信をする」などが挙げられます。
なお、企業SNS運用についてさらに詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>企業SNS運用とは?マーケティングでの活用や成功事例、炎上等の注意点 | 広報代理店
記者発表会・記者会見の開催
新商品や大型プロジェクトの発表、大きな方針転換などを対外的に表明する際には、記者発表会や記者会見が効果的です。特に、複数のメディアを一度に招いて直接情報を伝えられるため、短期間で大きな注目を集めたい場合は有力な広報手段となります。
また、記者会見に訪れてくれたメディアや記者と顔見知りなることもできるので、メディアリレーションズの構築につなげることもできます。
記者発表会は、企業側が主導して開催する“オープンなイベント”という位置づけです。一方、不祥事対応や緊急性の高いトラブルの場合の「記者会見」は、受動的に開催せざるを得ないケースもあります。いずれの場合も、資料をわかりやすくまとめ、記者が必要とする情報をしっかりと提供する準備が成功の鍵です。
メディアキャラバンの実施
「メディアキャラバン」とは、企業側が記者や編集部を訪問し、直接テーマや情報をプレゼンする活動を指します。プレスリリースに加え、メディアキャラバンによって記者と“顔を合わせる”ことで、より深い関心や信頼関係を築けるのがメリットです。
具体的には、自社の商品や取り組みを実際に見てもらう試供品を用意したり、データを交えた説明をしたりすることで、メディアや記者の理解を深めることができます。ただし、メディアキャラバンは相手に時間を作ってもらう必要があるため、訪問前に相手先メディアの特性や興味分野をリサーチし、失礼のない段取りを組むことが大切です。
記者懇談会の開催
記者懇談会は少人数の記者を招き、カジュアルな雰囲気の中で座談会や意見交換を行う場です。商品発表に限らず、業界の動向や社会課題、企業の今後の取り組みなど、リラックスした場だからこそ深い議論を行えるのが強みです。
また、記者懇談会を通じて、企業と記者・メディアが良い関係性を築ける可能性も高いので、メディアリレーションズを構築したい企業にもおすすめです。
懇親会のように交流を深めることで、記者の方から「こんなテーマを探している」「こういう切り口で記事を書きたい」など貴重な生の声を聞けるケースもあります。こちらもメディアキャラバンと同様に記者の時間を割いてもらう必要があるため、事前の準備と当日のスムーズな進行がポイントです。
プレスツアー(取材旅行)の実施
工場や施設など“現地でしか体験できない価値”がある場合、メディア関係者を直接招待して見学してもらう「プレスツアー」が効果的です。実際の現場を見たり体験したりした記者が、自社の魅力を深く理解し、より“臨場感”のある記事を執筆してくれることが期待できます。
ツアー形式で行うメリットは、ひとつの場所で複数の記者を同時に迎えられる点だけでなく、普段はやり取りのない異なる媒体の記者同士が交流し、情報共有が起きやすい点にもあります。メディアリレーションズの構築に役立つだけでなく、ツアー後に記者同士の雑談からさらなる情報拡散が起こるケースも考えられます。
メディアリレーションズを成功させるには?
メディアリレーションズを構築するための具体例は理解できても、それを本当の意味で“成功”させるにはどうしたらよいのでしょうか。単にリリースを出して終わり、記者会見を開いて終了ではなく、継続的にメディアから信用を勝ち取り、さらなるチャンスを得るためにはいくつかのコツがあります。
ここからは、メディアリレーションズ成功のために押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。
関係を築きたいメディアの特性を理解する
新聞・テレビ・ラジオ・雑誌・Webメディアといった多彩なメディアは、それぞれ得意分野や扱うテーマ、読者・視聴者層の属性が異なります。たとえば全国紙の経済部はビジネスの話題に強い一方、地元密着型の地方紙は地域性のあるネタを望むことが多いなど、メディアごとに好まれる内容はさまざまです。
メディアリレーションズを成功させるには、自社の情報がどのメディアにとって最適かを考え、そこに合わせたアプローチをすることが欠かせません。広く一斉に情報をばらまくだけでは効果は限定的です。各メディアの特性をきちんと見極める努力が必要です。
業界でどんなコンテンツが求められているかリサーチ
自社の情報を記者に届けるためには、そもそも“どんなテーマが世間で注目され、メディアは何を求めているのか”をリサーチしなければいけません。業界紙や専門誌に出てくる最新キーワード、SNSで話題になっているトレンド、海外の最新事例など、日頃から収集し続けることで、“記者受け”しそうなテーマを発掘できます。
さらに、競合他社がどんな情報でメディアに取り上げられているかを分析するのも有益です。「同じような切り口では飽きられるかもしれない」「そこに自社の独自性を加えると面白いかも」など、新たなアイデアが浮かぶ可能性があります。
社会にとって有益な情報を提供する
メディアは常に「読者・視聴者のメリットになる情報」を求めています。たとえ自社にとって画期的な製品や取り組みでも、それが社会の課題解決や生活の向上、経済の発展などに結び付くことが明確でなければ、なかなか大きく取り上げてもらえません。
自社中心のアピールに留まらず、「私たちの商品やサービスが、このような社会課題を解決します」「この取り組みが地域社会にとって大きなメリットをもたらします」といった切り口で情報提供できると、記者に興味を持ってもらいやすくなります。
プレスリリースやオウンドメディアを継続的に活用する
メディアリレーションズ(メディアとの信頼関係)は、一朝一夕で構築できるものではありません。プレスリリースやオウンドメディアを継続的に活用し、最新の情報発信を怠らない企業こそ、記者が「この会社は常に面白いネタを提供してくれる」と期待してくれるようになります。
一度プレスリリースを出して「取材が来なかったからもうやめよう」ではなく、季節ごとのイベント情報や社会的なテーマとの絡みなど、何度も情報発信する機会を作りましょう。その積み重ねが、メディアリレーションズの成功を支える大きな柱になります。
記者と良好な関係性を構築する
最後に、記者との関係づくりが欠かせません。「取材したい」「記事にしたい」と思うかどうかは、テーマのニュースバリューだけでなく、“記者がこの企業や広報担当とやり取りしやすいかどうか”も大きな要素です。質問への回答が早く、誠実に情報を提供してくれる企業は、記者から信頼される傾向にあります。
また、記者が求めている情報を第三者(自社以外の取引先や専門家など)に当たって紹介したりと、広い視点で記者に協力する姿勢を示せば、「次も何かあればこの企業に声をかけたい」と思ってもらえるでしょう。
メディアリレーションズで失敗してしまう理由
メディアとの良好な関係を築きたいと思いつつも、なぜか思うように取材が来なかったり、取り上げられても記事の内容が不本意だったりするケースもあるかと思います。その原因はもしかすると、企業がメディアにアプローチする過程で“やってはいけないこと”を知らず知らずのうちにしてしまっているからかもしれません。
ここでは、メディアリレーションズで失敗してしまう主な理由を3つ解説します。
自社のPRばかりに目が向いている
いくら自社が「最高の商品・サービスだ」と思っていても、メディア視点では「社会性」「ニュース性」に乏しいと判断されれば取り上げられにくくなります。自分たちが宣伝したいことを一方的に押し付けるだけでなく、「世の中が求める情報は何か」「社会的な価値や意義はどう示せるか」を常に意識することが大切です。
また、プレスリリースの段階で広告的な表現を多用しすぎると「宣伝目的ばかり」と思われ、マイナスイメージを与えかねません。あくまで“情報を提供する”スタンスを忘れずに、第三者(メディア)が面白いと感じられる切り口を用意しましょう。
掲載内容をコントロールしようとしてしまう
取材を受け、情報提供をしても、記事としてどのように掲載されるかは最終的にメディア側の編集判断に委ねられます。そのため、「自社の望むように書いてほしい」「あれは書かないでほしい」と過度に要求したり、何度も修正を要請したりすると、メディアと衝突してしまうリスクが高まります。
明らかな誤字脱字や事実誤認に対して修正を求めることは問題ありませんが、企業が“掲載表現までコントロールしようとする”のは、メディアリレーションズにおいて大きな失敗となりかねません。記者や編集者の視点を尊重し、お互いに信頼できる関係を築きましょう。
著作権や肖像権など権利関係のチェックが甘い
プレスリリースに添付する写真や動画、あるいはインタビューなどで使う資料について、許諾のない画像を流用したり、個人の肖像権を侵害する恐れがあったりすると、メディアに余計なリスクを負わせることになります。こうしたケースは、メディアに取り上げてもらえないだけでなく、記者やメディアからの信用を失ってしまう可能性があります。
また、メディアが作成した記事や映像を企業の公式サイトやSNSで紹介する際も、権利関係や引用のルールを守っていないとトラブルになりかねません。メディアリレーションズの構築を考えているのであれば、こうした法的・権利的な基礎知識も押さえておきましょう。
メディアリレーションズで広報担当者が意識すべきポイント
最後に、メディアリレーションズを日々実践していくなかで、広報担当者が特に意識しておきたいポイントを紹介します。
取材対応のスピード感から記者の視点に立った情報提供まで、一つひとつ丁寧に取り組むことで記者との良好な関係が生まれ、やがては企業にとって大きなチャンスとなって返ってくるでしょう。
メディアからの取材依頼や質問にすぐ対応する
メディアは常に締め切りやタイミングに追われています。取材依頼があれば可能な限り即時に返信し、詳細な回答が必要な場合でも「いつまでに回答できるか」を早めに伝えましょう。こうしたスピード感ある対応が「この企業は協力的で助かる」と好印象につながります。
逆に、回答が遅れたり、担当者同士で情報共有が十分にできておらず話が二転三転したりすると、記者は「扱いづらい」「次は声をかけたくない」と感じることもあります。どんなに素晴らしいネタがあっても、取材対応の不備で機会を逃すのは非常にもったいないので、できるだけスピーディな対応を心がけることが大切です。
記者が求めている情報を提供する(記者目線の考え方)
記者やメディアは、「社会が興味を持つ情報」を集めることが使命です。企業が提供してくれる情報が“自社目線”の宣伝ばかりだと感じると、なかなか記事にしようとは思われないでしょう。逆に「読者が知りたいのはこういう部分ではないですか?」と記者目線で情報を整理し、追加資料や専門家のコメントなどをそろえて提供できると、記者やメディアにとって非常にありがたい存在になれるはずです。
また、同じテーマでも「数字」や「具体的な事例」の有無で記事の説得力が変わります。記者がスムーズに記事を書けるように、分かりやすいデータや背景情報を用意しておきましょう。
可能な範囲でメディアからの相談に対応する
記者から「○○に関する詳しい人を紹介してほしい」「業界の実態を把握したいが他社の事例があれば教えてほしい」と相談されることがあります。自社で対応が難しくても、「そのテーマに詳しい取引先がある」「別の会社を紹介できる」など、可能な範囲で協力すると、記者に「この広報担当は頼りになる」と思ってもらえるでしょう。
一見、自社に直接関係のない依頼に思えるかもしれませんが、ここで誠実に対応することで、その後の取材や記事化で恩恵を受ける可能性も十分あります。メディアリレーションズは長い目で見た“信頼構築”が非常に重要です。
メディアリレーションズは広報の重要な役割のひとつ
メディアリレーションズは、「企業とメディアが互いに尊重し合える関係を構築し、その延長で社会にとって価値のある自社の情報を届ける」という活動です。
記者や編集者との関係を良好に築ければ、広報担当者が発信する情報は注目されやすくなり、新商品の認知拡大や企業イメージ向上、社員のモチベーションアップなど、さまざまな相乗効果が生まれやすくなります。
一方で、自社のメリットばかりを追求したり、メディアの視点や編集判断をないがしろにすると、効果を得るどころか信用を失いかねません。メディアと二人三脚で情報発信する姿勢が、メディアリレーションズを含めた広報で成功するための第一歩と言えるでしょう。
メディアリレーションズを構築するなら「広報代理店」へ
「メディアとの関係構築が大事とは分かっていても、実際に具体的な手間やスキルが必要で、なかなか進まない……」
「メディアリレーションズの構築を進めたいが、社内に適切なリソースが存在しない……」
こんなお悩みをお持ちの企業様も多いのではないでしょうか。そんなときは、専門的な知識や経験を持つ「広報代理店」がサポートいたします。
広報代理店では、メディアリレーションズの構築でお悩みの企業に代わり、質の高いプレスリリースを作成したり、オウンドメディアの記事を作成したりすることができます。また、企業SNSの運用代行など、さまざまな広報・PR業務を代行することが可能です。
広報代理店のサービス一覧
>>企業のSNS運用を代行!広報代理店「いっしょにSNS運用」のサービス内容を解説 | 広報代理店
>>企業YouTubeチャンネルの運用を代行!広報代理店の「いっしょにYouTube運用」のサービス内容や費用・メリット | 広報代理店
広報代理店にご依頼いただくことで、広報のプロが情報を整理し、ニュースバリューを高める視点で広報物を発信するため、記者やメディアの目に留まりやすくなることが期待できます。
さらに、広報代理店は日頃から多様なクライアントや業界に接しており、メディアからの信頼を得やすいネットワークを持っています。広報代理店では、こうしたネットワークを活かしつつ、「クライアント企業様の強み」や「社会的に意義のある部分」を最大限に引き出しだしたプレスリリースなどの広報活動を通じて、メディアリレーションズを成功に導くことが可能です。
メディアリレーションズの構築や広報全般についてお悩みの広報担当者様は、ぜひ広報代理店までお気軽にお問い合わせください。